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恋した男子は強いのです
「実~、み~の~る君」
翌日のお昼休み。
七海が僕に両手を合わせて謝罪している。
「ごめんって!そんなに怒るなよ」
僕の机に貢物が並んで行くのを、周りの人がクスクス笑って見ている。
朝、僕は七海を置いて学校に行き、ずっと無視していた。
そんな僕に、七海が机に僕の好きな物を並べて謝っている。
「何?ななみん何したの?」
その様子を見ていた小島が、笑いながら僕の背中にのしかかる。
「何なに?いちご牛乳、いちごポッキー、いちご大福?お前、どんだけいちご好きだよ!」
笑う小島から、七海がいちご牛乳を奪い返し
「これは実への謝罪の物(ブツ)なんだから、触んな!」
と怒ると、俺の前に綺麗に並べ直す。
「何があったか知らないけど…反省してるみたいだから、許してあげたら?」
小島の言葉に、への字にしていた口を開き
「本当に反省してる?」
と聞くと、七海が笑顔を浮かべて
「海より深く反省しています」
って呟いた。
「七海、顔笑ってるぞ」
そう言いながら僕は七海が買ってきた、いちご牛乳にストローを差して口にした。
七海は僕がやっといちご牛乳を飲んだので、安心したように笑顔を浮かべた。
悔しいけど、七海の笑顔を見るとつい、許しちゃうんだよなぁ~。
そう考えていると
「ほら、実。卵焼き」
って、箸に挟まれた卵焼きを差し出されて口にした。
うん!やっぱり七海のお母さんの卵焼きは美味い。
「お前ら……本当に仲良いよな」
呆れた顔をした小島達に
「今まで喧嘩してたじゃないか」
と僕が答えると
「仲直りして、直ぐに卵焼きをあ~んとか、信じらんねぇ」
って言われた。
僕と七海が顔を見合わせると
「今更……」
そう言って苦笑いした。
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