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『ぴんぽ~ん』
あまりの悔しさに牛乳をがぶ飲みしていたら、家のインターフォンが鳴った。
「はぁ~い」
インターフォンのモニターを見ると、宅急便のお兄さんが映し出された。
『すみません、白猫便ですが。お荷物をお届けに参りました』
と言われ、「今行きます」と返事して玄関に向かった。
チェーンロックを外し、鍵を開けた。
「湯田明子様宛の荷物です」
爽やかな、ちょっと猫目の柔らかい笑顔を浮かべた宅急便のお兄さん。
一瞬、見惚れて声を失う。
お兄さんは、印鑑を押して荷物を受け取る僕にふわりと優しく微笑み
「偉いね、お留守番?」
そう言って、僕の頭を撫でた。
そしてポケットからチュッパチャプスを取り出し
「良い子にご褒美」
って渡された。
思わずイケメンの優しい笑顔にぽ~っとして、受け取ってしまった。
「それでは失礼します」
の声にハッとして、慌ててお兄さんの後を追い掛けた。
白猫便の「配達者:水田 勝」の文字を目に焼き付ける。
走り去る白猫便の車を見送り、僕は運命を感じた。
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