運命的な出会い

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「はぁ?好きな人が出来た?」 その日、運命の出会いを誰かに話したくて、速攻、七海に電話した。 七海は呆れた声でそう叫ぶと 「運命って思ってるのはお前だけで、相手は何とも思ってねぇと思うぞ」 そう言われて、口をへの字にして頬を膨らませる。 「だって、苗字が水田だよ!湯田と水田なんて、そこで運命を感じるよ!」 と主張する僕に 「お前……今時、中学生だってそんな発言しないぞ」 って呆れてる。 「何だよ!七海だから打ち明けたのに……!もう、良い!」 僕は怒ってスマホの通話を切った。 今まで誰にも心はときめかなくて、初めて出会った心を奪われた相手。 応援しなくても良いから、馬鹿にして欲しく無かった。 「七海の馬鹿!うんこたれ!」 通話を切ったスマホに向かい、僕はポツリと呟いた。 ……でも分かってる。 誰かを好きになったって、僕を恋愛対象として見てくれる保証は無い。 ずっと怖くて、誰も好きにはならなかった。 いや、なれなかった。 みんなが楽しそうに恋をしているのを、僕はずっと傍観者を貫いていたんだ。
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