恋した男子は強いのです

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七海は高校2年の時、1度だけ告白して来た子と付き合った事がある。 でも、すぐに別れてしまった。 それ以来、彼女を作らなくなってしまった。 理由を聞いても、七海は自分の悩みを他人に吐露する事は無い。 いつだって、六花と七海で解決しちゃうんだ。そんな時、僕は仲間外れにされた気分になっちゃうんだ。 少しくらい、頼ってくれても良いのに……。 そんな事を考えながら僕がいちご牛乳を飲み干すと、七海が手を出して来た。 「良いよ、自分で捨てるよ」 と答えると 「俺のを捨てるついでだから」 って言うと、飲み干したいちご牛乳のパックを僕から奪ってゴミ箱へ歩き出した。 「ななみんは、本当におゆくんに対してだけは世話好きだよな~」 小島が呆れた様に呟くのを見た時だった。 窓の外にチラリと見覚えのある宅配業者の車が見えた。 考えるよりも先に、身体が動いていた。 「え?おゆくん?」 僕の行動に、全員がポカンっとした顔をしたのがわかったけど、僕は走り出していた。 校舎裏に周り、駐車場を探すと……居た! 車から荷物を確認して、事務室へと向かう姿。あれは間違いなく水田さんだ! 僕は荷物の受け渡しをしている姿を見つけて、ワクワクして待っていた。 「では、失礼します」 声も間違い無い! 事務室から出て来た水田さんに、声を掛けようとしたその瞬間 「実、何してるんだよ!5時限目が始まるぞ」 と七海の声がして、僕の腕を掴んだ。 その時、水田さんと一瞬だけ目が合う。 でも、七海が僕をズルズル引きずるように教室へ向かって歩いて行くので、水田さんはすぐに車へと走り去ってしまった。 「七海!なんで邪魔するんだよ!」 水田さんの車が走り去るのを見送り、僕が七海の腕を振り払って怒ると 「お前、声掛けてどうすんの?」 そう聞かれて「確かに…」って納得しかけて、僕はハッと我に返る。 「だからって、邪魔すんなよ!そんなの、声掛けてから考えれば良いだろう!」 地団駄踏んで怒る僕に 「そんなに話したいなら、帰りに又会えるよ」 って、七海が呟いた。 (なんですと?) 僕が固まると 「それよりほら、さっさと戻らないとマジで5時限目が始まる!」 そう言って走り出した。 「え?ちょっと、七海!どういう事か説明しろよ!」 僕は七海を追い掛けるように、慌てて教室へと戻った。
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