「み」

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顔を洗って、 制服に着替えて、 リビングに行くと わたしの席にはすでに トーストとヨーグルトと フルーツが置いてあった。 「おはよう、 お母さん、お父さん。 お父さん、チャンネル NHKやめて他のにして。」 わたしは普段通り のろのろと席に着くと、 トーストにジャムを 塗りたくる。 お父さんが 「他のチャンネル~?」 って渋るのを横目に、 そのトーストをばくっと かじってると、 お母さんがわたしの席に 冷たい紅茶を置いた。 うーん、良い香り。 「おはよう、ともえ。 今日はお母さん面談に 行ってくるから夕飯少し 遅くなっちゃうわ。」 そういってわたしの 席の前に座るお母さん。 そっか、今日うちの家、 面談の日か。 「ん、わかった。 お母さん、わたしの ロッカーあんまり綺麗じゃ 無いけど怒らないでね(笑)」 「え?? ロッカー??」 お母さんがキョトンとして こっちを見てきたけど、 わたしはそれにかまわず パクパクトーストを食べる。 わたし、結局あんまり ロッカーのモノ持って 帰れてないんだよ(笑) でも先手を打って 話しとけば大丈夫でしょ。 ・・・・・・・あれ?? そう言えば、新の家の 面談って昨日じゃ なかったっけ??? あらたのおばちゃんが ブチ切れる声、全然 聞えてこなかったぞ。 それに新、昨日普通に 夕ご飯食べてるし。 わたしはフルーツに かじり付いたまま、 「ん~?」と眉をひそめた。 新、面談で怒られるような こと言われなかったんだ?? ふーん、スマホ見つかったら 全部親にチクられるってやつ、 アレ嘘だったんだなー。 なーんだ、面白くない(笑) せっかくこのネタで 新をからかってやろうと 思ってたのに。
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