「み」

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だけどここは教室。 馬鹿みたいに鬼ごっこ してる男子もいれば、 噂話に花を咲かせてる 女子だっている。 ああ、ほら、 キャピキャピ女子なんて 目ざとくわたしと新が 一緒にいるのを見つけて、 わたしを思いっきり 睨んでるよ。 「・・・大丈夫、 気にしないで。」 わたしがボソッと こう言うと、 新は全く納得してない 様子で、思いっきり 顔をしかめた。 「・・・何嘘ついてんだよ、 俺には話せないこと?」 わたしの顔をじっと見て 不安げな表情をする新。 ねえ、 そういう言い方、 ずるくない? 子犬みたいな顔して、 こっちがドキッとする ようなセリフを吐いて、 話さないといけない 気になるじゃない・・・・ わたしが唇を噛んで 視線を落としていると、 「おーーーーいっ!」 って教室のドアの方から 大きな声が聞こえた。 「春崎ーーーー、 7組のやつがお前に 用事だってさーーー!!」 わたしと花蓮と新が そっちの方を見ると、 うちのクラスの男子が 廊下の方を指さして 新を見てる。 新が他のクラスの 子に呼ばれるなんて しょっちゅうあることだ。 呼ばれる理由の 半分は『告白』で、 もう半分は遊びの誘い。 今回は何だろうな、 また告白だったりして。 「わーった!! 今いくーーーーー!」 新はこう叫ぶと、 くるっとわたしの方を 振り向いてきた。 「あとで話聞くからな。 あ、あと数学のノート、 俺が帰ってきたら貸して! じゃ!」
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