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「・・・行っちゃったね~、
春崎くん。」
教室を出ていく
新の背中を見つめて
花蓮がほうっと
ため息をついた。
わたしは伏せたまんまで
「んー・・・」と小さく
返事をする。
あいつ、
心配症なのよ、
大丈夫って
言ったのに・・・。
わたしがむすっと
して黙ってると、
花蓮がふふふっと
小さく笑った。
「ほーんと春崎くんって
佐伯ちゃん大好きだね~!
あんな心配してくれる
なんて、花蓮もあーゆー
幼なじみほし~い!
ていうか、ほんとに
佐伯ちゃん、春崎くんと
付き合っちゃいなよー★」
「・・・新は、
わたしのこと幼なじみ
として懐いてくれてる
だけだもん・・・。
付き合えるわけ
無いじゃん・・・・。」
幸いにも、わたしが
本当に小さな声で
言ったこの言葉は
花蓮の耳には
届かなかったみたい。
花蓮は、
「えー?なぁに??」
ってキョトンした
表情を浮かべて
こっちを見てきた。
「・・・何でもないよ。」
言いながら、わたしは
新のことを考える。
新がわたしのことを
こんなに心配して
くれるのは、
単純に新が優しい性格
だから?
わたしが幼なじみだから?
そこに、
「特別な感情」なんて
1ミリもやっぱり
ないのかな。
・・・ま、
あんなイケメンと
幼なじみってだけでも
めぐまれてるんだから、
こんな風に考えるのは
欲張りなコトかもしれない。
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