「み」

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こらこらこらこら、 新さん、 あんた、 自分が「数学のノート 借りる!」って言った ことも忘れてるのかい。 「春崎、 数学のノートは いいわけ??」 わたしは 「ったく、新ったら 何忘れてんのよ」 って呆れたように 声をかけてみた。 ・・・・こういう時、 わざわざ自分から 嬉しそうに貸して あげるのって、 なんか恥ずかしいでしょ? この時のわたしは、 新がきっといつも通り ふざけながら、 「あ、忘れてた!」 って言って、ノートを 借りにくるもんだと 思ってた。 だけど、 実際は違ってて。 新はわたしの声に くるっと振り向くと、 なぜだかひどく機嫌の 悪そうな表情でわたしを 睨みつけてきた。 ・・・・・・・え? わたしは何がなんだか 分からず、ぎこちなく 新の方を見上げる。 新がわたしにこんな 態度をとることは 滅多にない。 というか、 正直中学校のときの 新が反抗期で妙に関係が ギスギスしてた時以来だ。 「あ、春崎・・・・?」 わたしが恐る恐る また新に声をかけると、 新は、かなりイライラ した様子で、 「数学のノート、 やっぱいいわ。」 ってそれだけ言って 他の友だちのところへ 行ってしまった。 ・・・・・なに、 ・・・・・・・・・え?
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