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「ドアが閉まります。ご注意下さい」
そんなアナウンスとほぼ同時に車内に駆け込んで来た男子高校生。名前も学校も降りる駅も知らないけれど、ほとんど毎朝同じ時間の電車に乗っているからよく見かける子だ。
モデルみたいに背が高くて、髪もツヤツヤしてて、中性的な顔立ちをした男の子。身体の線が細いからか、どこか儚げな印象を受ける。
その男の子は息を切らして車内を見渡すと、空いていた私の右隣の席に座った。
シャンプーのいい匂いがふわりと優しく鼻をかすめる。
朝シャン派なのかな、なんて思いながら横目で彼を見ると、彼はスマホを見ていて、綺麗な長い指がその画面の上をせわしなく滑っていた。
その目は何かを慈しむような温かさを持っていて、口元はほんの少しだけ緩んでいる。
誰かとLINEしてるのかな、彼女とかいるのかな……そんなことを考えながら私もスマホを眺めることにした。
しばらくそうしていると、彼の座る右側の肩に暖かな重みを感じた。
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