往復書簡 2 はじまりの物語

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 本音を言えば、文を書くのは苦手だ。あまり漢字を知らないから。どうしても、ひらがなが多い拙い文になってしまう。前の職場で日誌を書いたとき、  『なにこれ? 小学生だって、もうちょっと漢字を使って書くよ?』―そう上司に言われて、その仕事から離れた。  悪気や悪意があったわけじゃないかもしれない。だけど、どうしても、我慢できなかった。  とはいえ、そんなことがあるたびに職を離れていたって、いいことはない。漢字だけじゃない。学校にもロクに通えなかった自分には、多くの人が持っているような類の知識学問が欠けている。これがコンプレックスになるならば、それが嫌なら変えていくしかない。そうでなければ、『逃げ癖』がつくだけ。  そう思って、こうして学校に通い出した。20年経って今さら、という人もいたけれど。まあ、確かに若くはない。だけど、10年後の自分よりは、今の自分の方が、ずっと若いはずだ。
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