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その場に残された美樹も、教室のテラスの扉からすぐさま教室に入り自席へ着く。程なくしてドタドタと廊下を走る音が聞こえて翔馬とその仲間たちが教室に駆け込んできた。
美樹は翔馬の姿を見つけると、思わず目を伏せて、教科書に視線を落とす。
ーーだって、緒方くんには山崎さんがいる……。
翔馬が幼馴染と付き合っているというのは、もっぱらの噂。だから誰もその仲を割くようなことなんてしない。
ーーでも……。
美樹は俯いたまま、左胸のあたりをギュッと小さく掴む。
ーーこの広い花壇で落としたちっぽけな私の恋心は、もう拾い上げることなんてできない。
それはそれは、切ない落とし物。
<了>
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