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ぷりぷり怒っていた神さまだが、私が聞く姿勢に入ったことのほうが重要だったのだろう、すぐに話し始めた。
「ちょっと前に若い女の子が来てさ、すごーく熱心にお祈りして行ってくれたの」
「熱心に、ですか」
「お賽銭千円も入れてたよ」
「めちゃくちゃ良い人ですね!」
「うん。良い子だなーって思ったから、私も気合入れてお願い事を叶えてあげたわけよ」
精神年齢が幼稚園児とはいえ、神は神だ。神さまは人智を超える力を持っていて、気まぐれに、人間の運命を変えてしまう。良いようにも、悪いようにも。
今回はお願いを叶えてあげたらしいので、良いほうに作用したようだが。
「そしたらね、その子が今日また来て」
「お礼参りでしょうか」
「と、思うじゃない? そうしたら! 感謝するどころか、その子、私のことめちゃくちゃ罵倒してきたのよ!」
意味わかんない! と眉尻をつり上げる。なるほど、それでさっきから怒っていたらしい。
「うーん……? 神さま、ちゃんとお願い叶えてあげたんですよね?」
「一語一句間違えずにばっちり正確に叶えたわ。私、ああいうピュアなお願い事に弱いから」
「……あの、差し支えなければ、どういうお願いされたのか、聞いてもいいですか」
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