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「私の連絡を優磨くんは無視しているんです。電話もLINEも。今更話すことは私にもありません……」
「このままでは優磨さんの進退に関わります」
「どういうことでしょう?」
「社長子息の優磨さんには敵も多いのです。このまま足を掬われて仕事に影響が出るのはまずい。会社は優秀な優磨さんに継いで頂かないと私も社員も困るんです。本来優磨さんは女性関係であんな風になる人じゃありませんから」
「でも……」
「差し出がましいこととは重々承知しておりますが、今の優磨さんは見ていられません」
どう答えたものか迷っているとLINEの着信音が聞こえた。
反射的に手に取る癖がついてしまったため、私はすぐにスマートフォンの画面を見た。いつものように下田くんからの連絡に顔が青ざめる。
今も相変わらずメッセージが来ていた。ほとんどストーカーと言ってもいいかもしれない。LINEもブロックしてしまおうかと思うけれど、『無視するな』と言われてついメッセージを確認してしまう日々だ。
『明後日、金持って駅前のファミレス』
命令する文面に手が震える。
どうしよう……まだお給料日は先なのに明後日って……。でも優磨くんと別れたのだからお金を渡す必要もないよね? それを伝えればもう下田くんが私に連絡してくることもなくなるんじゃ……?
私の様子に泉さんは不思議そうな顔をする。
「波瑠様? 大丈夫ですか?」
「はっ、はい! 大丈夫です……」
下田くんが関わると動揺してしまう。今は平常心を保たなきゃ。
「優磨さんのこと、ご検討ください。ご自宅までお送りします」
「お仕事は大丈夫なのですか?」
「この後取引先に行く用事がありますので一緒にお乗りください」
「ありがとうございます」
泉さんに甘えて家まで車に乗せてもらった。
何度かこの車に優磨くんと乗ったな……。
泉さんには申し訳ないけど優磨くんと会うことは無いな。まだ私が下田くんと不倫してると思ってるんだし。私の言葉はもう届かない。
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