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突然下田くんがテーブルの下に潜って横から這い出た。その手にはフォークが握られている。
「お前……ふざけたこと言うと刺すぞ」
「やっと度胸がついた? これって立派な犯罪だよ。波瑠を脅したこともね」
下田くんは尋常じゃないほどの汗をかいている。私は手元のフォークを警戒した。
「ストーカーになるなんて堕ちたもんだね。調子のいいやつだとは思ってたけど、ここまで波瑠に執着するなんて驚いてるよ」
「うるせーよ……」
「そもそも、浮気なんてしなければ波瑠はずっと下田のそばにいてくれたのにね」
優磨くんは座ったまま立ち尽くす下田くんを冷静に見上げる。
「黙れ……」
「まあ下田の考えたことは大体わかるよ。波瑠にカッコつけた姿だけ見せて自分のダメなところに幻滅されるのが怖くて、他の女性に八つ当たりのように甘えたんだろ?」
「黙れって……」
「でも波瑠は欠点だってちゃんと受け入れてくれるよ。下田はそれを分かってなかった」
「黙れって言ってんだろ!!」
下田くんは店中に響くほど大きな声で優磨くんに怒鳴る。
「昔からお前のそういうカッコつけたとこが大嫌いだったんだよ!」
フォークを優磨くんに向けた瞬間、前後と横のテーブルに座ったお客さんが一斉に立ち上がった。そうして同時に全員が下田くんの回りに立って囲った。
「なん……何なんだよ……」
「この頼もしいお兄さんたちは城藤グループの警備会社の人たちだよ。今回ご協力いただいたんだ」
「はあ!?」
「言い忘れてたけど、今この店貸し切りにしてあるから。叫ぼうと暴れようと構わないよ」
優磨くんはこの状況に冷静に言葉を放つ。
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