第三話 恋にのぼせて頭パーン

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 ニューイにローションを継ぎ足すように言うと冷たい粘液がドロリと垂らされ、窮屈な内壁と指の間のヌメリが増す。  あとは、教えた力加減で前立腺をなぞり続けてもらうと、揺らぎ程度の快感が全身に満ちていくだけだ。 「九蔵……な、なんだか感じが……」 「あっ……うん……上手いなお前……んっ……気持ちいい……あっ……」 「んん、いや……うう、やらしい……」 「え……? っん、はっ……」  歯切れ悪く眉を困らせて唸り始めたニューイを不思議に思うが、なんでもないと言われて誤魔化された。  どうしたのだろう。もしかすると普段は九蔵の体にこうして触ることがないので、勝手がわからないのかもしれない。 (てか、俺はセックスに持ち込むのが目的なわけだよな) 「にゅ、ニューイ」 「う、うむ」  目的を思い出した九蔵は微かに考え、甘く疼く体を顕にそっとニューイを伺う。 「も……もっと触ってくんね、かな」 「もっ……!?」  ニューイはピャッ! と目を丸くして、なぜか慌て始めた。  様子はおかしいけれど、普段はなにかと触りたがるのでたぶん嫌じゃない……はず。ならば全力で誘うのみ。  自分の体の横につかれているニューイの手に額をコツンと当てて、上目遣いに見つめる。なお焦点は合っていない。 「今日は、お前の好きに触っていい的な……感じで……」 「感じでっ……?」 「よかったらだけど、俺もお前に触る……し」 「触るしっ……?」 「お、おう。そんな感じで、あの、魂の真ん中以外なら弄って良くて。体自体も、舐めたり噛んでいい、です」 「ですぅ……っ!?」  九蔵が話すたびに、耳まで赤くなったニューイが反芻しながら疑問符を飛ばし震え上がった。おかげで中の指もちょっと震えている。指型ローター。若干気持ちいい。 「あうぅ……これは誰でもエスケープしてしまいたくなるだろう……九蔵が据え膳に見えてしまうなんて……」 「は……?」 「いやだが、今回ばっかりは九蔵が悪い……迂闊だ、迂闊だぞ……これはよくない……お説教しなければ、他の悪魔や人間にちょっかいを出されるかもしれないのである……」  ニューイは俯いたままブツブツとなにやら呟いてバイブレーションした。やはりニューイは変なニューイだ。  そう思っていると、変なニューイはプクと頬袋をふくらませた拗ね顔で九蔵に四つん這いになるよう言った。  なぜそんな格好を、とうろたえる九蔵だが、惚れた弱みには勝てない。  素直に従い、裸で下着を膝に引っ掛けたまま足を開いて尻を上げる。 「こう、ですか……ニューイさん……」  心持ちモジモジと身じろぎながらも、四つん這いの九蔵は後ろに視線をやって尋ねた。
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