第四話 ケダモノ王子と騒動こもごも

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  ◇ ◇ ◇  正直に言う。  自分は齢二十四の成人男性だが、セックスに夢を見ていた。  元々淡白なのと、ひとり遊びのネタがそういう同人誌や声優さんのそれ用CDだったりで、AVなどで他人の性行為を見る機会が少なかったほうだ。  ニューイに自慰を手伝ってもらっていた餌やりも素肌を愛撫されるくらいで、行為に及びそうな触れ合いはあの一回だけだろう。  故に「セックスって触り合いっこして高ぶったら挿れて出して、そのあとイチャイチャするんだよな?」とティーンエイジャーも鼻で笑うポヤポヤなイメージしか持っていなかったのだ。  そしてニューイ相手なら、それで間違いないだろうと高をくくってもいた。  だがしかし。  現実は、局部に修正がかかりプレイに規制が入るフワフワメルヘンな世界ではないわけで。 「──ダメ、ダメ、もういく、いっ、っひ、ぁああ……っ!」  快楽に犯されて二度目の絶頂を迎えた九蔵は、ベッドの上でビクンッ、と弓なりに身をしならせた。 「ん、ふ」 「ぁっ……あ……あ〜……っ」  熱くぬかるんだ軟体の中で、哀れに震える肉棒からドクドクと白濁液が滴る。勢いはなく漏らすような感覚だが、それでも股間の付け根から官能が走った。  三本の指を食むアナルが痙攣に連動して、きゅっ、きゅう、と収縮を繰り返す。 「はっ……はぁっ……ゔ〜……」  九蔵はベッドヘッドとクッションにもたれ掛かり足を広げたまま、汗だくの肌が溶けていくような気がした。  いざ本番となったあとのこと。  ニューイはキスと前戯を始め、ズーズィに貰ったローションの余りで未開通の後ろを丁寧に解した。  緊張した窄まりを拡げながら、ニューイはちょこちょこ言葉で責める。  そして前立腺をクンクンと押しながら、余すところなくあちこちの性感帯を中への刺激と連動させた。  勝手がわからない九蔵はされるがまま、ニューイに言われるがままに直視できないニューイの体を手探りで触ったりした。  そうして全身火照らされた九蔵の中を拡張しながら、ニューイはおもむろにそそりたった肉棒を咥えこんだのだ。  結果、シャイニング属性のニューイのお上品な顔と、グロテスクなもののコントラストが、九蔵の脳をパーンとバカにした。  しかもそのままこう、前立腺をコリコリと引っ掻きつつ、片手で竿を扱きながら先っぽを喉奥で、グチュグチュと。  ──本当にもうグチュグチュと……ッ! (クソ〜……こんなん聞いてねぇですけど……! マジでやばい……全然挿れて終わりじゃねぇ……つか挿れてもねぇのにイってばっかですしね……!)  脳内でヒンヒンと鳴く九蔵は、すでに満身創痍である。  同人誌でもAVでもたいていストーリー性はそこそこに即挿入だと言うのに、挿れる前にくんずほぐれつ絡み合うなんて恥辱でしかない。  エロいことをするのは恥ずかしいし、それがエロければエロいほど恥ずかしすぎる。とにかくエッチなことは恥ずかしい。 「ふろぅ」 「んも……なんですかぁ……」  そんな九蔵の羞恥を知らないニューイは、九蔵が漏らした種ごと性の欲望をジュルリと口内へ迎え入れたまま、九蔵の名を呼んで体を起こした。  フフ、と嬉しそうに笑みを浮かべ、九蔵の手を取って自分の喉に宛てがう。  手のひらの下、ゴクンと上下する喉仏。 「ごちそうさま」 「っばっ……か……っ」  途端、九蔵は涙が滲みそうなほど猛烈な羞恥に襲われ、ギュッと身を縮こまらせた。  ニューイのバカヤロウ。  なんの躊躇もなく自分の精液を飲まれて、九蔵がまともな顔をしていられるわけがないのである。
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