第四話 ケダモノ王子と騒動こもごも

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 遮るものがなくなると、ヌラヌラと光る下腹部や太ももの付け根も、淫液をまといしなだれた肉茎も、湿り気を帯びた茂みも、全て丸見えだ。  一般的に女性的なイメージがあるスカートを捲ると、そこにあるのは男の全て。  しかも、ニューイに見られて感じていた。ピクンと陰茎が揺らぐ。 「はっ……の、俺の、こことか……気持ち悪いと思いますが……見せる意味あんのかね……? お前は気持ちよく、ないだろ……?」  こんなに馬鹿げたプレイで狂おしいほど昂ってしまうのは、きっと自分だけだ。  見ているニューイはつまらないに違いない。気持ち悪くすらあるだろう。  女の格好をした男。  恥ずかしいのに、見られて感じる。  今の九蔵は、矛盾した生き物だった。  他人から見るとクリーチャーだろうと確信して尋ねるが、全肯定溺愛悪魔のニューイは「つまらないなんてとんでもない」と嬉しげに微笑む。 「な、萎えねぇの……?」 「むしろ私とシていてこんなになっていたのかと思うと、光栄だ。いくらでも感じさせてあげたくなるぞ」 「うっ、……ひぃ〜」 「う? 嘘じゃない。よーし。実技講座を開くので、是非感じておくれ」 「おわっ……」  ニューイは全く引いた様子もなく表情を緩め、そのまま九蔵をベッドに横たわらせた。  背中の下にフカフカの枕を敷かれる。  スウィートルームの枕は綿雲のように九蔵の体を支え、自分の足の付け根が見えるくらいの絶妙な傾斜をつけた。  スカートの裾を持ち上げたまま両足を左右に開くよう言われ、おずおずと開く。  九蔵が下げたショーツをニューイが丁寧に両足から抜き取ると、下半身がソックスを残し、すみずみあらわになった。  待ちわびる秘所がヒク、ヒク、と呼吸しているのが丸見えで、足先をキュ、と丸める。少しはまだ、恥ずかしい。  けれど、足は閉じないように堪えた。  ニューイが九蔵の頭をヨシヨシとなでて、緩みきった笑顔でチュ、とキスをする。 「んっ……」 「九蔵は器用で覚えがいい。私の自慢の恋人だ。でも、それを知っているのは私だけのままがいい。ふふ……ワガママである」  九蔵は火照った胸の奥の魂を、トクン、と高鳴らせた。  言われなくても、こんな恥ずかしい姿を見せるのはニューイだけだ。  こんな恥ずかしい姿を全て受け入れた上でかわいいと愛でるのが、この世でニューイだけだからだ。  だから、ニューイが愛おしい。  ニューイは熱くふしくれだった怒張にローションを追加してヌルリと入り口を擦り、窄まりに先端をグッと押しつける。 「ンぐ、ぅ……っ」  そのまま腰を押し進められれば、入口の輪っかは柔軟に拡がり──ズプン、と難なく根元まで呑み込んだ。  小さく窮屈な肉穴をひと息に奥まで擦り挿入される快感に、九蔵はグンッ、と弓なりに身をしならせ、喉をのけぞらせる。 「ふぁ……あ……」  丸めた足先から頭の先まで、甘い官能の痺れが走り抜けた。  ココにモノが入っただけで気持ちいい。そういう体になった。された。愛しのワガママな恋人に。  まぁ、別に構わない。  つまりは、嬉しい。 「あっ……あ……っ、ぁっ……」  一呼吸置いて小刻みな抽挿が始まると、九蔵はすすり泣くように細く喘ぎを漏らす。  逞しい杭が中の浅いところから突き当たりまでをズチュ、ズチュ、と擦ると、ケダモノじみた呻きをあげた。  気持ちいい。頭がバカになる。  股間で頭をもたげる茎がしなり、濁った先走りが伝っていく。  無意識に腰を揺らめかせると、そこを見せつけるような動きになってしまうのが止められなかった。 「あ、や……っニュ、ぅイ……っ」  スカートを下げてそれを隠してしまいたくなって、九蔵は握りしめたスカートをくしゃくしゃにして名前を呼んだ。  今までは隠せていたのに、自ら男に抱かれて勃起していく様を見せつけなければならないなんて、みっともない。  眉を潜めて充血して潤んだ瞳で控えめにヘルプを求める九蔵に、九蔵の腰を掴んで犯すニューイは溶け落ちそうに甘い笑みを見せる。 「ふ、隠しちゃダメだぞ、九蔵。私は見ているのだから、キミは見せていてくれないとね。お勉強をしただろう? 九蔵はわかって感じるほうが、気持ちいいのだ」 「ヒッ……あッ……ぁッ……」  襞の弱い箇所ばかり狙ってトンットンッと小突かれると、九蔵はガクガクと腰を浮かせて、面白いように悶えた。  この先生は、タチが悪い。  かわいがりたがりのニューイは、九蔵が悦ぶことならなんだってやってしまう。
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