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「っ……? ぁ……?」
「先ほどから触れているのは、魂の入れ物というか、その人間の魂を形作る骨格……人としての芯である」
「ぉ……イ、っ……?」
「それをこうして悪魔に触られると、体からではなく脳や精神が直接快感を受け取るらしい。だから体は達していない」
「へ……っ…あ……」
「ふふ、ここは器の中心だぞ」
目を丸く開き、意味のない吃音を漏らして混乱を極める九蔵。
カタカタカタと小刻みに震えるように全身が痙攣している。ニューイの言葉ももちろん理解できない。
「ぃっ……イって、っ……出て、ぇ……?」
屹立の先端から透明な蜜がトプ、トプと押し出されるように溢れては幹を伝って根元の茂みを濡らしていった。
射精したわけではない。肉棒は硬いままだ。硬いまま、射精と同じかそれ以上の絶頂感が襲う。それが終わらない。
「ぁっ……また…あっ……っ」
(な、なんで……? こんな、止まんね……俺、俺の、なんか、おかし、い)
これで出ていないなんて信じられなかった。あんまりだ。頭が一発でバカになってしまい、なぜか泣きたくなる。
夜の闇と月明かりに満ちた室内を見ていたはずの眼の奥では、チカチカと火ぼしが瞬き、カラダはビクッ、ビクッ、と小刻みな絶頂を繰り返す。
「嫌、っあ、っ……!」
「これまで食事をする時に心臓部をこねくると、人間はみんな酷く乱れた。間違いなく人間の一番感じるところだと思うのだよ」
「あっ……これ、と、とまら、っぁ……っ」
「私は人間ではないから、よくわからないのだけどね」
ニヘニヘと笑うニューイを叱り飛ばす余裕もなく、九蔵は脳内にクエスチョンマークを乱舞させて達し続けた。
切なげにキュゥ、と眉根を寄せて喘ぐ。
おそらくずっとイっている。ニューイはそれを、当たり前のように扱っている。
「はっ……イ、ったのに……出て、ね……」
「うん、平気だ。人間の男でも出さずに達することができるのさ。なにもおかしなことじゃないぞ、九蔵」
「で……っ……出てねの、に、ずっと……っぁ……っイク……っ」
クチュクチュと蠢くニューイの手により震えが止まらず、九蔵は力の入らない肢体はニューイの腕だけを支えにビクッ、ビクンッと淫らに戦慄いた。
「イク……あっ……イ、あ……っ」
出さずに何度も、イキ続ける。
ニューイは胸をなでていた手を下腹部へ滑らせて九蔵を優しくポンポンとあやすが、トクトクと哀れに脈動する屹立には触れない。
溜め込んだ精液を解放させてもらえず、コポ、ととめどなく溢れる蜜は銀の糸を引き、シーツと下着にシミを作った。
「んっ……ひ……っ」
「どうだい? 九蔵。気持ちいいだろう? もっとできるぞ? だ、だからその……九蔵の性欲を、私が食べてもいいかな?」
「ひぁ……あ~〜……っ」
強烈な快感で、電流が走るという感覚を初めて理解する。
電流が走ると人は全身が依存症の発作のように小刻みに震え、ほんの数秒、息が吸えなくなるらしい。
そしてその数秒が過ぎると、全てを捨てて溺れてしまいたくなるような淫惑に侵され、羞恥や忌避感が霧散していく。
残った思考は、ただただ単純。
すごく、気持ちいい。
もっと、感じたい。
脳を焼くような強烈な快感に襲われていても射精に至らないこの状態を、人間は普通に生きていて味わえるものなのだろうか。
味わったとしても、はたしてそれに、耐えられるものなのだろうか。
──まぁ、無理でしょうとも。
「あ……ニュ、イ……もっかい……」
「へっ……?」
「ん、ぁ」
理性を失った九蔵の微かな声をうまく聞き取れずにニューイが首を傾げると、手が振動する。たったそれだけの振動でもニューイの手を伝って核心へ震えが伝わると、九蔵はめっぽう気持ちいい。
抗いがたいくすぐったげな官能を感じ、甘い声で鳴いてしまう。
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