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「はっ……も、っと、シて……はっ」
「フフ、わかったとも。九蔵のためならいくらでもシよう。カワイイ、九蔵」
「ニュ、ィ……っはっ……ぅ…コレ、んっ……出ねぇ、よ……んっ……」
「ムフフ、カワイイ、カワイイね」
「ンぁ…あ……」
ニューイは始終上機嫌だ。
乳首を強く摘み、捻じるようにこねながらカリ、と魂を引っ掻かれ、九蔵は身を丸めてプルプルと震えた。
「出したい……んっ……ニューイ……」
「いいかい? 九蔵が握っているモノを自分で慰めなければ、性気は練られるばかりで解放されない。それは嫌だろう?」
「ぁ……? ぁ、っん……いや、だ……」
「ふふ、よしよし。それじゃあ、九蔵は自分でするのだ。それを思う通りにあやしてごらん?」
「ん、く……ン……っン……っン……」
ニューイの声は耳に残る。
理性の崩れた頭では、熱の籠った肢体を動かし、ユルユルと動いてしまう。
優しく諭す誘導。胸の表と裏から襲う快楽を糧に、九蔵はニューイの言う通りに手を動かして、解放を求めた。
「じょうずだ」
「ひ……っ……はっ……っ」
ふふ、と耳元で低く笑われ、手の中の肉棒がドクッと張り詰める。
自慰がうまいと言われてどうしてこんなに気持ちいいのやら。声までオカズになっている。悪魔という生き物は、どこまでも人間を惹きつけて止まない。
九蔵が夢中になって屹立を扱くと、ニューイはそれに合わせて乳首をこね、魂をやわく揉み、小刻みな絶頂を与え続ける。
何度も何度も繰り返し。もう言葉も話せないほど溶けた九蔵の髪に、ニューイはスリスリと頬を擦り寄せ嬉しげに笑って甘える。
「あっ……ぁっ……あッ……」
「あぁ、夢のようである。キミをまた味わうことができるなんてたまらないよ、九蔵、キミの匂いで酔いそうだ。それにこんなに濃度の高い欲を舌に乗せて転がしたら、中毒になったっておかしくないよ、九蔵」
「ぁッ……ぁッ……ァッ……ッ」
「人間は悪魔は常識が通じなくて気が変だなんて言うけれど……私はとても真面目なイイコでね」
「あッ……ぁッ……あぁ……ッ」
「キミ以外を、食べたりしない」
「あぁぁ……ッ」
そうして限界まで昂った精がようやく迸り──九蔵は自分の手のひらに、ドクドクと粘度の高い白濁を吐き出した。
それと同時に、人には見えないモヤが九蔵の周囲にうごめく。
ニューイが九蔵の髪に口付けると、それはフワリと舞って捕らわれていく。
(──……っあ)
射精の蕩揺と言葉にできない大きな恍惚に沈む九蔵は、自分の体の中からなにかが霧散したことを感じた。
酷い倦怠感の中で、ズルリとニューイの手が体内から引き抜かれる。しなやかな背がわずかに仰け反り、微かに「ぁっ……ん……」と声が漏れた。
泥に溺れていく意識と視界。
ペロリと唇を舐める悪魔が、無邪気に頬を弛めて笑う。
「私の舌は、もうキミのものなのだよ」
──味覚もセリフも、全て捧げる。
つまりそういう、告白だ。
(そんな言い方、無自覚にするなんて……確かに悪魔は、気が変だな……)
〝魂が尽きるまで甘く甘く、キミだけを愛するのだから、早くここまで堕ちておいで〟
無邪気に誘うこの悪魔様には、絶対に、ハマってはいけない。
頭が痛くなるほど痛感した一日は、こうして熱を持ち、閉じていくのだった。
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