第二話 気になるモテ期

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「いいかい、九蔵」 「んっ……」 「絶対に始終無言でコトに及ぶような男にひっかかってはいけないぞ? 羞恥プレイでも言葉責めでもないのに口数が多すぎる確認男もあまりよくない」 「ひっか、ぁん……かんな、って……っ」 「九蔵の反応をつぶさに観察し、多少の演技だろうが気持ちを昂らせるため九蔵に合わせて、言葉を貢ぐ相手を選ぶのであるっ」 「はぁ……っや、なんで男限定……っ?」  本気で言い聞かせるニューイ。  ただ自慰行為を手伝っているだけのニューイなのに、いちいち真面目だ。  だけどニューイといると、九蔵はいとも簡単に影響されてしまう。  いとも簡単に、ニューイというウイルスに感染してしまう。 「言葉を貢ぐ、な……」  九蔵は噛んでいたニューイの服を、舌でゆっくりと押しのけた。  それから視線を上げてニューイの美しい顔を盗み見る。 「はっ……」 「どうかしたかい?」 「や、眩しー……」  ニューイはすぐに九蔵と目を合わせて、ニコリと微笑んだ。途端、手の中のモノがドクッ、と脈動する。心臓に悪い。  本人公認で確かにニューイは九蔵のオカズだ。このイケメンの手で追い詰められることに、興奮している。──っ……あぁもう、あぁぁもう……っ!  伸ばしては空を切っていた手で、ニューイの腹あたりの服を握りしめた。 「き、気持ちいい……」 「ンフッ」 「お前……の、顔、気持ちいい、よ。だから……その、俺も協力……します」 「わた、私の九蔵がカワイイのである……っ!」 「っあっ、んんっ……!」  思い切って羞恥を抑え望まれた言葉を貢ぐと、ニューイは見るからにデレリと表情を溶かす。  ニューイが九蔵の腰に手を埋めたまま抱きしめようとするものだから、魂がギュウと締めつけられて九蔵の体がビクンッ! としなった。  ニューイはそれに気がついたが手を止めず、九蔵の中をさするように握っていく。  体を離したニューイは九蔵を感じさせながら、潤んだ九蔵の瞳をニコニコと笑顔で見つめた。特等席だ。 「っはぁ……っあ、っ……っ」 「ムフフ。九蔵が気持ちいいなら、私はキミを見つめていようかな」 「んっ……それは、っ……ぐ、目を閉じろっ……く、っ……ぁっ……あぅ……っ」 「ぬっ!? そ、それだと私が九蔵を見られない……!」  慌ててやめさせようとしたが、気分を高めるためにしてくれていることを無碍にするのはかわいそうに思う。  せめて目を閉じるように言うとニューイはしゅんとしょげたが、言われた通りに目を閉じた。  これならこちらを見られることなくニューイの顔を堪能できる。ベストポジション。 「う、んっ……いい、感じ……」 「むへへ」  ニューイの首に腕を引っかけて顔を覗き込みながら褒めると、九蔵の頬は勝手に嬉しがって笑みがこぼれた。  ドクッ、と限界が近いモノが弾む。かわいいのはニューイのほうだろう。興奮が抑えられない。 「九蔵の声、熱いな」 「あ、う、ぅ」 「見えないと寂しい……せめてもっと声を聞かせてほしいぞ」  子犬がオネダリをすると、九蔵は望まれるままに手の中の肉棒をグチュグチュと擦り、ハァハァと乱れた呼吸と嬌声をかけた。  九蔵が喘ぐとニューイは嬉しい。  解放に向けて追いたて、絶妙に内側から押し上げる。絶頂が近い。 「はぁっ……あっ、っ……ニューイ……う、っ、うぅ……っ」 「ん……?」  コン、と額をニューイのそれにぶつけて、至近距離であさましく彼の顔を見つめた。 「ニューイ……っあ、聞いて、声……っ」  手を止めずに、泣きそうに揺らぐ瞳で目を閉じているニューイのまぶたを視姦する。  気持ちいい。彼の全てが、九蔵はちかごろ、気持ちいいのだ。
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