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心の中は大騒ぎだが努めて冷静に言う。
「覚えていてくださったんですね。」
「当然だ。」
「あの時はお世話になりました。こうして一緒にお仕事できて嬉しいです。」
ペコリと頭を下げる有希に、和泉は頭をポンポンと撫でた。
あの時と同じで、とても優しい仕草だった。
何だかくすぐったくて甘酸っぱくて、有希は胸がぎゅっと締めつけられるようだった。
ドキドキしすぎて顔を上げられない。
(やっぱり私は和泉課長が好き……。)
上司としてではなく。
いつもの厳しい顔も、わずかに笑う顔も、あの落ち着いた声も、頭をポンポンとしてくれる仕草も、全部全部、好き。
(好きでたまらないです、和泉課長。)
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