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人事部の和泉は同期の中で一番早く出世した超エリートだ。
30歳にして課長に抜擢され、今年度から人事部の課長を務めている。
高身長、高学歴、容姿端麗。
綺麗な銀縁の眼鏡がその優秀さを際立たせているようだ。
だがその容姿とは裏腹に、仕事に厳しくいつも無愛想。笑った顔を見たことがある人はいないとまで言われている。
ひどく素っ気なくて、話し掛けづらい、怖い、といった印象を持たれている人物だ。
「岡崎さん、人事部へ加勢なの?」
「うわ~、頑張ってね。」
同僚たちは皆可哀想な目で有希を見る。
有希が和泉の下に就くことに同情しているのだ。
(皆は知らないんだ。和泉課長の微笑む顔を。眼鏡の奥の瞳がとても優しくなるのを。とっても素敵なのになぁ。)
有希は返事に困って、適当に「うん」と答えておいた。
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