笑顔

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笑顔

いつもの書店のカフェで、有希は和泉に説教をしていた。 「和泉さん、社内ではもう絶対あんなことしないでください。」 ぷんすか怒る有希に、和泉はコーヒーを一口飲んで言う。 「公私混同はしない。当たり前だろう?」 ど、どの口が言いますか~! しれっと言ってのける和泉に、有希は肩を落とした。 まさか会社内で好きかどうかの答えを求められ、尚且つキスをされるとは思わなかった。 クールでお堅いイメージの和泉。 それは間違ってはいないと思うのだが、時々予想外の突拍子もないことをする。 思えば和泉に翻弄されてばかりだ。 いささか悔しくなり、有希は目の前のココアを飲んで心を落ち着かせた。 甘くてあったかくて、ホッとする。 ちらっと上目遣いで和泉を見やれば、少しも表情を変えずに有希を見ている。 何だか自分だけがわーわー騒いでいるみたいで居心地が悪く、有希は視線を外した。
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