1187人が本棚に入れています
本棚に追加
笑顔
いつもの書店のカフェで、有希は和泉に説教をしていた。
「和泉さん、社内ではもう絶対あんなことしないでください。」
ぷんすか怒る有希に、和泉はコーヒーを一口飲んで言う。
「公私混同はしない。当たり前だろう?」
ど、どの口が言いますか~!
しれっと言ってのける和泉に、有希は肩を落とした。
まさか会社内で好きかどうかの答えを求められ、尚且つキスをされるとは思わなかった。
クールでお堅いイメージの和泉。
それは間違ってはいないと思うのだが、時々予想外の突拍子もないことをする。
思えば和泉に翻弄されてばかりだ。
いささか悔しくなり、有希は目の前のココアを飲んで心を落ち着かせた。
甘くてあったかくて、ホッとする。
ちらっと上目遣いで和泉を見やれば、少しも表情を変えずに有希を見ている。
何だか自分だけがわーわー騒いでいるみたいで居心地が悪く、有希は視線を外した。
最初のコメントを投稿しよう!