大人げない

1/2
前へ
/35ページ
次へ

大人げない

最近和泉の評判がいい。 評判がいいというか、「話し掛け易くなった」とか「意外と怖くない」とか、そんな感じだ。 有希はその話を耳にするたび、嬉しくなり心踊った。自分の好きな人の、ましてや恋人のイメージがアップするのはとても誇らしいことだ。 有希から見ても、仕事中の和泉は確かに以前より表情が柔らかくなったと感じていた。 来客対応のため、給湯室へコーヒーの準備をしに行く。 だが有希は入口でピタリと足が止まった。 中には和泉と人事部の女性社員が二人っきりで話をしている。しかもそれは明らかにリラックスした状態で、仕事の話ではなさそうに思えた。 どうにも入りづらく、有希は踵を返して一旦自席へ戻った。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1187人が本棚に入れています
本棚に追加