大人げない

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モヤモヤする。 給湯室で和泉と二人っきり。 それは自分だけの特別なものだと思っていた。もちろん、そんなことは有希の勝手な考えだと思っている。だが、今までこんなことはなかった。和泉が女性社員と談笑するなどということは、見たことも聞いたこともない。 和泉が他の誰かと話すのはいいことだ。 そうやって、和泉は本当は優しい人なんだということをわかってもらえる。 それは有希も望んでいたこと。 なのに。 何か嫌だ。 和泉と有希が付き合っていることは特に公にしていない。していないからこそ、余計にモヤモヤする。自分勝手ではあるが、誰かと仲良くしている姿は見たくなかった。 わかってる。 これは嫉妬だ。 大人げなく、嫉妬しているんだ。 有希は時間を確認してもう一度給湯室へ向かった。あの二人がいてもいなくても、来客対応のためのコーヒーを作らなければならない。 意を決して向かった給湯室には、もう誰もいなかった。有希はほっと胸を撫で下ろすと共に、寂しさを感じた。 (ここに、和泉課長だけ、いてほしかったな…。)
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