タク(11)

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タク(11)

アイは、最初、激しく拒んだが、最後は俺の説得を受け入れた。 俺は、泣いて謝るアイを抱き締めながら、言った。 「アイは、なんにも悪くない。これは、誰のせいでもないんだ。不妊治療なんて無理に続けなくても、いつか子供ができるかもしれないし。そうじゃなくても、俺たち二人で、元気に幸せに暮らそう」 俺が頭を撫でると、アイは泣き笑いをして小さく肯いた。 俺が二十八歳、アイが二十六歳の時だった。
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