タク(13)

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タク(13)

ミカとは、高校二年から三年にかけて、一年ほどお付き合いをしていた。 高校の時のミカは、大人びている印象だった。 背が平均より高くて、すらりとしていて、切れ長の瞳が艶やかで。 だが、今日、久しぶりに会ってみると「若いな」という印象を受けた。 高校の時から時間が止まったように、外見が変わっていない。 ミカが離席すると、他の野球部のメンツも、俺と同じ感想を口にした。 「あいつ、若くね?」 「昔と変わんないな。まんまだわ」 「いい女ってのは、年を取らないもんなのかね~」 それから、隣に座っていたクラスメイトが、俺の肩を強めに叩いて言った。 「タクも、あんまり変わんねえよな! ずるいぞ! 俺なんて、嫁さんから『頭が涼し気になってきたわね』なんて言われてんのに!」
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