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タクとサリ(1)
「一人でいるのが、一番安心で安全なの」
サリは、俺のほうは見ず、足元の枯葉に視線を落としたまま、繰り返した。
「私、学校や職場でもずっといじめられていたから、友達もできたことないし。一人でいれば、誰からも悪意を向けられないで済む。今は、両親も死んじゃって、昔、私をいじめていたクラスメイトや同僚も死んでる。とてもほっとしているの」
「え、でも、じゃあ、仕事なんかはどうしてるの?」
俺は、サリの服装を見て尋ねた。
サリは、小ざっぱりとした装いで、およそ、俺みたいな生活をしている人間には見えない。
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