タクとサリ(3)

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タクとサリ(3)

サリの提案で、その晩は、近くの温泉宿に泊まることになった。 サリは、そもそも、温泉に宿泊することが目的でこの土地にやってきており、山に登ったのは、興味本位かつチェックインが始まるまでの時間つぶしだった。 サリは、俺と話をしたがった。 不老不死の人間には、これまで何人か会ったことがあるが、俺みたいに隠者を極めている人間と会うのは初めてだという。 「そういえば、初対面なのに、どうして俺が不老不死だって分かったんだ?」 当初の疑問をぶつけると、サリは小さく笑った。 「経験、かな。百二十歳を超えた頃にね、不老不死とそうでない人の違いが、なんとなく分かるようになったの。気配とか、顔付きとか、雰囲気とか・・・うまく言えないけど、そんな感じ」
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