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タクとサリ(5)
「なにが?」
そう問われて、助手席に座っていた俺は、思わずうつむいた。
サリが買ってくれた、新しい服や靴が目に入る。
「服とか、移動手段も、宿代も・・・俺、金はほとんど持ってないから」
すると、サリは朗らかに笑った。
「そんなこと、気にしないで! 私から誘ったんだし。服も、悪いけど高いものは買ってないから。車は、別に、タク君と会おうと会うまいと、料金変わらないしね。宿代は、プラス一名料金になると思うけど、大丈夫。そのくらいの余裕はあるから」
サリは、俺を横目でちらりと見ると、すぐに前に視線を戻した。
「それより、タク君の身の上話、聞かせてよ。それで宿代はチャラでどう?」
「それは、まあ、いいけど・・・そんなんでいいの?」
「もちろん!」
サリは、横顔でもはっきり分かる笑みを浮かべた。
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