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タクとサリ(8)
九時を過ぎる頃、「夜食です」と言って、小さな一段重が運ばれてきた。
中には、あんを塗った草団子と、みたらし団子が、一本ずつ入っていた。
俺はみたらしを選び、サリはあんの団子を手に取った。
「私はね、私の人生は、不老不死かどうかに関係なく、最後は自殺だと思っているの」
お茶を飲み、団子を頬張りながら、サリが言った。
「だって、私の人生って、昔から、どこにいても、誰といても、いつまでたっても、理屈の通用しない悪意を向けられて、理不尽に不利な立場を強要されるだけなんだもの。そんな人生に未練なんかないし。私には、味方もいないし」
そこで、サリは一息つき、再びしゃべり始めた。
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