タクとサリ(13)

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タクとサリ(13)

「私、賃貸アパートに住んでるの。古いけど、二間あるからそんなに狭くないと思う。そこで、私と一緒に、人間社会で暮らしてみない?」 それからサリは、決まり悪そうに、自分の頬に人差し指を押し付けた。 「あ・・・まあ、私もお金持ちじゃないから、タク君を養うことはできないし、もう人間社会の生活はまっぴらごめんなら、無理強いはできないけど・・・」 俺は、鼻で深く息を吸い込んだ。 これは、二度とないチャンスだと思った。 俺は、即決した。 「いいよ」 俺は、目を見開き、口元に笑みが咲き始めたサリに、肯いてみせた。 「俺、サリさんと一緒に行く
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