キミの側は落ち着かない

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最近の俺は、家でも学校でも考えるのは同じ事。 門倉にもっと近づきたい。 そう思っているのに俺は門倉の方さえまともに見る事ができなくて、門倉がそこにいるって感じるだけ。 近くにいられるのは嬉しい、だけど落ち着かなくて。 しゃべってみたいのに、このままでもいいかも、ってひよってる俺もいるわけで。 何も行動を起こす事無く、もだもだと一週間が過ぎてしまった。 「あ、教科書忘れちゃった……」 ふいに隣りから聞こえてきた門倉の声。 ど………どうしよう。 ドキドキドキドキと心臓が騒がしい。 これはチャンスなのだ。仲良くなるチャンス。 でも……。 「ねぇ、平山くん、教科書忘れちゃったんだ。見せてくれないかな?」 「―――OK」 俺は門倉の方を見る事無く教科書を門倉に渡そうとした。 「え?それだと平山くんが困るじゃない。くすくす」 はっとした。教科書を門倉に渡してしまえば俺の教科書はなくなる。 緊張のあまり失敗してしまった。 うー門倉に笑われるなんて……。 ガタガタと音をさせて門倉は自分の机を動かして俺の机にくっつけた。 「二人で見よ?」 「は……ひ」 噛んじゃった! 恥ずかしい! 何やってるんだ! 恥ずか死ぬ!! くすくすくすくす。門倉の控え目な笑い声。 ドキドキドキドキ。 なんかいい匂いする……。 ふわっ………!? 俺の肩に門倉の肩がそっと触れた。 俺はびっくりして固まってしまった。 そんな俺の様子を見て門倉はちょっとだけ眉をへにょりと下げた。 「ごめんね。この方がお互い教科書がよく見えるから……少し我慢してね?」 「だ、だ、……大丈夫」 「ありがと」 いや、まったく大丈夫じゃありません! 俺の中は嵐です! 門倉とくっついてるし、いい匂いするし、俺に話しかけてくれるし! 全身が心臓になったみたいだ! 俺はちらりと門倉の横顔を盗み見た。 「ん?」 なんて小首を傾げ俺を見てくる門倉。 はぅうううううううう! 俺、俺、俺―――――! 俺はプチパニックになり、勢いよく立ちあがり鼻血を出してそのまま後ろにひっくり返ってしまった。 「平山くん?!」 薄れゆく意識の中心配そうに俺を覗き込む門倉の顔が。 あぁ……まじ天使…。 「す………き」 ぷつり。
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