3・3回目の不倫

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「何々、どうしたの? 俺と不倫する感じ?」 友人は暢気だ。そんな事より……。 「おまっ、未婚だったよな⁈ 同期で未婚仲間はお前だけ、まさか抜け駆けしたのかよ!」 「あー……。実は、10年付き合ってた幼馴染みと、昨日籍入れたんだよ」 「はあ?! 彼女居るなんて言ってなかっ……」 「海外在住で、紹介も出来なかったからさ。逢うの10年ぶりだし」 (ほぼほぼ、遠距離恋愛である)  衝撃の事実に俺は、膝まづいた。俺だけ行き遅れ⁈  いや、まだ先輩と後輩がいる。 「どんな付き合い方してたのか、教えろよ!」  俺は、食い気味に友人の手を掴んだ。  掴むつもりはなかったが、勝手にイベントが進んでいる。是が非でも、詳しく聞きたい。何せこの方産まれてから、お付き合いというものをしたことがない。Fカップ一直線の人生を歩いてきた。 (今もな!) 「リモートデートに決まってるだろ。スマホやノートパソコン持って散歩に行ったり、遊園地行ったりさー」 (想像すると、実にシュールだ) 「十年も?」 「十年前は……テレビ電話かな」 (時代を感じる)  気づけば、自宅にいた。今日の不倫場所は自宅らしい。 「何か飲む?」 「じゃあ、ワンカップ大〇」 (どうやらカップに拘るらしい)  友人が袋の中から一つ俺にくれる。  今日のカップはワンカップ。いつになったらFカップに遭遇するんだ⁈ 今日はハーレム予定だったのに。 「で? 初(*´ε`*)チュッチュとかは?」 (何故か俺のPCはちゅと打つとこれが変換される。な・ぜ・だ!) 「もちろん観覧車だぜ! 王道だろ」 と、友人。 「どんな感じ?」 「んー硬くて、冷たいかな」  硬くて、冷たい……。 (それってスマホ越しじゃ……) 「じゃあさ、彼女にリップクリームとか、買ってあげたほうがいいんじゃないかな?」 と、俺。  (*´ε`*)チュッチュしたことがなかったため、真実に気づかなかった。 「何故に?」 と、友人。 「柔らかくなるかもしれないし」 と進言すると、 「柔らかくなったら不便だろ。スライドする時、指がめり込むじゃないかよ」 「え? めり込むくらいが良くない?」  出来れば柔らかい方が。  と言うより、唇ってスライドさせる感じ? 恋愛上級者の言うことは、よくわからんな。 「お前、変わってるなー」 「え? 俺?! みんな硬い方が好きなの?」 「普通はそうだろ」  俺って、少数派だったのか……。 俺は、友人と不倫した。 ───数時間後。  一人になってから俺は、Fカップ美女の唇をスライドさせることを想像しする。  どうなるかの想像もつかない。  自分はまだまだ恋愛初心者であることを学んだ。  とりあえず、名前は変えようと思ったのだった。
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