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「何々、どうしたの? 俺と不倫する感じ?」
友人は暢気だ。そんな事より……。
「おまっ、未婚だったよな⁈ 同期で未婚仲間はお前だけ、まさか抜け駆けしたのかよ!」
「あー……。実は、10年付き合ってた幼馴染みと、昨日籍入れたんだよ」
「はあ?! 彼女居るなんて言ってなかっ……」
「海外在住で、紹介も出来なかったからさ。逢うの10年ぶりだし」
(ほぼほぼ、遠距離恋愛である)
衝撃の事実に俺は、膝まづいた。俺だけ行き遅れ⁈
いや、まだ先輩と後輩がいる。
「どんな付き合い方してたのか、教えろよ!」
俺は、食い気味に友人の手を掴んだ。
掴むつもりはなかったが、勝手にイベントが進んでいる。是が非でも、詳しく聞きたい。何せこの方産まれてから、お付き合いというものをしたことがない。Fカップ一直線の人生を歩いてきた。
(今もな!)
「リモートデートに決まってるだろ。スマホやノートパソコン持って散歩に行ったり、遊園地行ったりさー」
(想像すると、実にシュールだ)
「十年も?」
「十年前は……テレビ電話かな」
(時代を感じる)
気づけば、自宅にいた。今日の不倫場所は自宅らしい。
「何か飲む?」
「じゃあ、ワンカップ大〇」
(どうやらカップに拘るらしい)
友人が袋の中から一つ俺にくれる。
今日のカップはワンカップ。いつになったらFカップに遭遇するんだ⁈ 今日はハーレム予定だったのに。
「で? 初(*´ε`*)チュッチュとかは?」
(何故か俺のPCはちゅと打つとこれが変換される。な・ぜ・だ!)
「もちろん観覧車だぜ! 王道だろ」
と、友人。
「どんな感じ?」
「んー硬くて、冷たいかな」
硬くて、冷たい……。
(それってスマホ越しじゃ……)
「じゃあさ、彼女にリップクリームとか、買ってあげたほうがいいんじゃないかな?」
と、俺。
(*´ε`*)チュッチュしたことがなかったため、真実に気づかなかった。
「何故に?」
と、友人。
「柔らかくなるかもしれないし」
と進言すると、
「柔らかくなったら不便だろ。スライドする時、指がめり込むじゃないかよ」
「え? めり込むくらいが良くない?」
出来れば柔らかい方が。
と言うより、唇ってスライドさせる感じ? 恋愛上級者の言うことは、よくわからんな。
「お前、変わってるなー」
「え? 俺?! みんな硬い方が好きなの?」
「普通はそうだろ」
俺って、少数派だったのか……。
俺は、友人と不倫した。
───数時間後。
一人になってから俺は、Fカップ美女の唇をスライドさせることを想像しする。
どうなるかの想像もつかない。
自分はまだまだ恋愛初心者であることを学んだ。
とりあえず、名前は変えようと思ったのだった。
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