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やがて、内海君がマグカップを持って席を立った。その背中を見送り、私も立った。
そして給湯室でコーヒーを入れる内海君のわき腹に、私は肘鉄を入れた。
「ぐおっ。丸山さん、なにするの」
「でかいミスか。やるね、さすが同期のダークホース内海」
「……う、うん。どうも」
「私もそれぐらい目立ちたいよ」
内海君は眉を上げて私を凝視し、それから笑い出した。
「何で笑う。錯乱するほどの大きなミスなわけ」
それは心底愉快そうな、初めて見る笑顔だった。
「このマスクでも、丸山さんには勝てなかった」
内海君は手を伸ばし、私のマスクを取った。
完
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