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1話 需要と供給
ポストにチラシが入っていた。
「死後の世界 無料体験会実施中!
今度の土日は来場者全員に記念品進呈」
興味が湧いた私は、土曜の朝一番で行ってみた。
あぁ。帰り道が分からなくなってしまった。
以来、私はずっと歩いている。
ちなみに、もらえた記念品は風鈴だった。
鳴らすと、家族の話し声が聞こえてくる。
それで寂しさを少し紛らせる。
そして私は、また歩き出す。
私が見たチラシの紙面の下のほうには、小さく、
「殺し屋無料体験会 同時開催!」とも書いてあった。
同じ場所で、これもやっていたのか。気づかなかった。
「初心者でも安心 プロへの道も!」か……。
これを機会にこの道へ足を踏み入れた者もいるようだ。このサービスからプロになった人物の体験談も記載されている。
このチラシ。さらに続きがあった。
紙面の欄外にとても小さな文字で、
『企画 主催。究極の出会いを提供する トワイライト・マッチングサービス株式会社』
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