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未熟な恋愛
大人になったらあれがしたい、これがしたいって
掲げてた。でも実際、大人になってみるとそんな物叶うわけなかった。
「え?先輩今年で28なんですか?」
昼食を口に運んでいた右手の箸がピクっと音を立てるように止まった。
「あぁ……えっと…そうだよ…」
後輩の何気ない一言がこの一週間で1番こたえた。
「そろそろ結婚考えないとやばいですよね。」
心の中で殴りたい…と思っても自分の情けなさが表に出てきてしまい実行に移せない。
別に恋愛をしたくない訳じゃない。
どうすれば、いいのか分からないからしないのだ。
「どれもこれも言い訳っぽいよな…」
後輩との地獄の昼食を思い出しながら、行きつけのカフェでコーヒーを飲んだ。
「莉さんどうしたの?ため息なんかついてさ」
クスッと笑いながら私のお気に入りのチーズケーキをだした。
「ゆずくん、聞いてよー…それがさ…」
私は、お気に入りのチーズケーキを頬張りながら今日の昼食での出来事を話す。
「なんか、莉さんって28って感じしないよね」
「えぇ?それは…もっと老けてるという………」
「違う、違う。もっと若く見えるってこと」
爽やかな笑い声を立てながら話す彼といる時が1番ほっとする。
「私も、ゆずくんくらいの年に恋愛をいっぱい経験してたら変わったのかな……?」
高校、大学と特に甘酸っぱい話もなく今まで生きてきた私にとって今からの恋愛は、地獄でしかない。
「別に恋愛を経験してないから、恋人が出来ない訳ではないと思うよ?」
優しい言葉で答えながら食器を洗う彼の姿は、とても絵になる。
「ゆずくんの彼女さんは、幸せものだなぁー」
「はは、莉さん、俺彼女いないよ?」
「えぇ?嘘ばっかり、おばさんに話してご覧よ〜」
少しからかった言い方で言ってるも誤魔化されてばかりだ。
「俺はね、彼女にするなら………」
そこまで言って、彼は利き手で口を塞いだ。
「ん…?」
「やっぱりなんでもない、」
彼は、私の使っていた食器を片付けて私の元から離れた。
彼の耳がほんの少しだけ赤くなっているように見えた。
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