最期の願い

自殺

　一体何なの?　私は早く死にたいのに。邪魔しないで欲しい。
「死んで生まれ変わって幸せな来世を送りたい?はっ、命を粗末にしようとしている身分でそんな生ぬるい願いなんて持つな。
いいか？　自殺をした者に対しては、どれだけ良い人柄であっても、どれだけ前の人生で辛い思いをしても幸せな来世など与えない」

　そんな。こんなに辛いのに。どうして自殺しちゃいけないの?　私なんて、いてもいなくても同じなのに……。

「今からお主に、何故自殺すると幸せな来世を与えないのかを説明する」
　説明なんてしなくてもいいのに。だって、本当に目の前に神様が現れるなんて、非現実的過ぎる。きっと何かの罠だろう。
　でも、聞かないと色々と厄介になりそうなので、ここは話を適当に聞いておこう。

「いいか？　お主が生まれる確率は、何兆分の一の確率なのだ。これは他人に殺される確率や、宝くじが当たる確率より低い。そんな奇跡に近い確率で生まれてきたのだから、簡単に命を粗末にする者など、わしら神は愚か、阿修羅様や閻魔様だって幸せな来世を与えたいなど思わない」

　だから何なの。だったらなんでこんなに私だけ不幸なの？　私の同級生は皆、友達と話して、笑い合って……私を不幸にさせたのは、こんな境遇に私を生まれさせた神様達でもあるんじゃないの？

　神様を自称しているなら、私が幸せになれるように手伝ってよ!