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……あれ? どうしてだろう? 私、あんなにこの世のことに対して悲観的になっていたのに。あんなに死にたいと思っていたのに。
「神様、私、やはり死ぬのは止めます!」
「ほう。やはり考えを改めたか。人間はな、どれだけ悲観的な考えを持っていたり、どれだけ辛い状況に置かれていても、幸せになりたいという希望は捨てぬ生き物なのじゃ。お主もこんな馬鹿馬鹿しいことをしている暇があるのならば、前向きになって幸せになる努力をしてみてはどうかのう?」
そうだ、そもそも死にたいと思ったのも、幸せに暮らしたいと思ったから……。私は幸せになりたいと思っていたんだ……。
そうだ、幸せが今ないなら捕まえればいい。辛いことがあるなら自分で解決すればいい。
苛められているのなら、教師に相談するなり、「嫌」と言ってみるなど、周りや自分を信じてみよう。
自分の顔が気に入らないのなら、美容に励めばいい。
ほら、私にだって希望が見えてきた__。
「ありがとうございます。私の考えまで変えさせてくれて__やはり貴方様は本物の神様です」
すると、さっきまでどんよりと曇っていた空が、段々と晴れてきた。さっきまでしかめた顔をしていた神様も、今は幸せそうな笑顔を浮かべていた。
「そうかい、そうかい。では、わしはこれにて帰る。お主が幸せになれるよう、陰ながら応援しておるぞ……」
神様は、一瞬でどこかへ消えていってしまった。
「お待ちください! 私はまだ、貴方様にお伝えしたいことが……」
私の声は神様に届かなかったのか、神様は戻って来なかった。
本当は神様ともっと話したかった。……でも、ここで弱気になっちゃ駄目だよね。前向きに生きて、幸せな人生を送ってから死なないと。幸せな人生を送ってから、また神様と再会しよう。
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