故郷と武器商人

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 それぞれが長距離の狙撃を成功させたのは奇跡だが、ジャックの超がつく遠距離狙撃は偶然などではない。大会に出ればもっと長距離を狙えるだろう腕前だ。 「あんたなんでそんな狙撃の腕前してんだよ、デルタじゃそこまで必要なかったろ」 「なんだよ、おじさんの過去なんて知っても面白くないぞぉ」  いそいそと屋根から降りながらも会話を続ける。恐怖心を持たせないような喋りは、今のような状況では或いは有効かもしれない。 「私も知りたいですね。ジャックはそういうの興味ないと思っていましたけど」 「んだよイザベルもか。まああれだよ、バインバインの胸した女に教わったんだよ」  間を端折り過ぎて全く伝わらない、そのつもりで言っているのかもしれないが。 「どうせ話すなら解るように説明してください」 「お前堅いよなそういうところ。超絶スナイパーが居てよ、そいつのレクチャー受けたんだよ。可愛い顔した東洋系の女でさ、そいつが凄い胸してたんだよイザベルよりもな。あいつ、俺の目の前で四千メートル撃ち抜いたって言ったら信じる?」  即座に反応はなった、何せ話に聞こえる最高記録、実戦ではやや暫く二千五百が最高だった。後にイスラム国を相手にした戦闘で三千五百があっただけ。四千はもはや神の領域としか言えない距離。  近くで突然喚声が響き渡る。伏せてあった旗を掲げて、黒人の集団が塹壕から飛び出していった。
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