砂漠と武器商人

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◇  ルワンダ奥地にあるフォートスター、その司令官室へ副官であるサルミエ少佐がやって来る。いつもの光景と言えばそれまでだが、今日は来客予定があった。 「商人が到着しました、いかがいたしましょう」 「応接室へ通してくれ。さてどんな脂ぎったおっさんが出てくるやら」  肩をすくめて独り言を漏らすが、サルミエ少佐は反応を見せない。つまらんなと思いながらも島中将はかけてある軍帽を手に取って手に持った。黒の軍服、裏地が赤の黒の外套、襟には三つの星がつけられている。中将の証だ。  左胸と左腕にも四つ星があって、これは階級とは全く別の代物。滅多にない来客に珍しく心がくすぐられる、何せ国際指名手配犯として扱われている、ろくな客が来ないのだ。そういう意味では商人でもマシな方で、大抵はどこかの政府の使者か軍や警察、更には非合法組織の手下がやって来た。  応接室に入ると四人が目に入った、一人はソファの後ろに立っている三十歳位の目つきが鋭い女性軍人、或いは元軍人。真ん中に居るのは十代後半だろう女性でスーツ姿、左右には男の護衛が座っている。どれもこれもかなりの技量を持っているのが伝わってくる。  立ち上がってにこやかに若い女性が挨拶をした。 「初めましてイーリヤ中将閣下。私、ワールドウェポンフーメバー通称WWWのカタリナです」
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