砂漠と武器商人

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 ワールドウェポンフーメバー自体はアメリカの軍需会社。表向きはそうで、事実上は紛争地帯へ兵器を売りさばく死の商人。争っている両方へ武器を売ることがある姿勢は、アメリカ合衆国と同じ。 「イーリヤです、どうぞお掛けになってください」  軽い調子で着席するように勧める。そうは言っても客よりも先に座る商人は居ないらしく、だまって微笑んで立ったまま。島はまあいいと腰を下ろした、するとカタリナも座る。 「遠路はるばるアフリカの奥地まで来ていただき恐縮です。ここは後進地域、最新鋭の装備を必要とはしません」  使いこなすかどうか以前に、必要とされないのだ。それはカタリナも承知の上、それでも彼女はここに来た。 「ナイフから衛星まで何でもご用意致します。どうでしょうか戦車大隊の一つでも!」 「じゃあそれを貰おう。T34/85でも構わないか? 骨董品だがアフリカでは充分な戦力だ」  第二次世界大戦後、千九百六十年代から生産された中戦車で、今や博物館や軍の退役兵器倉庫に保管されているだろう品だ。それでもソマリアあたりでは砂を装甲に乗せて接近されると脅威だった。 「もちろんです閣下。ご一緒に対空兵器オプションもいかがですか?」
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