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鼻息荒く命令するが、細かいことは部隊指揮官に丸投げして結果を待つ。上級指揮官としては普通ではあるが、途中の口出しが多いことが不満を買っているのを大佐は知らない。
「司令よりA中隊、西から北へと回り込め。B中隊は東から半包囲、本隊は直進させろ」
いくら西に逃げても国内なのでそちらは気にすることはない、深みにはまるだけ。最悪隣の軍管区と山分けになってしまうが、それでも勝ちは勝ちだと考えた。
官位は金で買える、後進国の常識。金が無ければ金目のものでも構わない、それが兵器でも。
「歩兵降車、小隊ごとにスタンバイ!」
全ての準備が整ったところで副官大尉が視線を向けて来る。
「よし、攻撃開始だ、やってしまえ!」
大佐がご満悦で命令を下す。副官大尉も同じように命令を出したが、部隊司令はそれに加えて「トレーラーに被害を与えるな」という文言を追加した。ここで大きな花火を見たいがために集まったわけではないだろうと、自身の判断を示すものとして。
お宝争奪戦が始まる、部隊長が卑下た笑いをする。上が昇進すれば吊られて自らも進む、しかも戦利品の一部は自分のものに出来るなら、こんな楽しい仕事はない。
「攻撃開始!」
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