209人が本棚に入れています
本棚に追加
十ドル札を取り出してカタリナに手渡すと、にこりとしてそれを受け取る。
「トレーラーと武器の代金、確かにいただきました」
「十ドル札ですが?」
「値段は私がつけます。これが今の適正価格、フェアトレードです」
腹の前で肘を折って再度の一礼、彼女の表情は確かに笑っていたが目は真剣だった。
「承知致しました、事後はお任せを」
一行はやたらと静粛性が高いヘリに乗り込むと、付近を護衛の戦闘機が舞っていた。早速カタリナは島に連絡をすると直ぐに繋がった。
「カタリナ・ヴィスコンティです、イーリヤ将軍」
「ご無事でなによりです」
「ご助力頂きありがとうございました」
「礼はあいつらに言ってやってください。私は椅子に座っていただけなので」
「はい。武器のお代はドゥリー大尉に戴きました」
「そうですか」
「私はカタリナ・ヴィスコンティ、武器商人です。イーリヤ将軍、世界中どこの国や地域でも、我々WWWは必ずや閣下のご希望の商品を納めさせて頂きます」
「わかりました、覚えておきます」
ヘリは長躯して、ソマリア沖に浮かぶアメリカ軍空母に向かって行った。
「なんだよ、とんだ大安売りだなカタリナ」
「どうかしらね。あれで私は信用という武器商人の、いや、商人として一番大切なものを手に入れたからね」
満足げな顔に、そんなものかと小さく頷く。
最初のコメントを投稿しよう!