砂漠と武器商人

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 カタログをテーブルに載せて、まるでポテトでも勧めるかのように気軽に兵器を売りに来る。島は苦笑して「じゃあそれも貰おう。詳細は現場の者と頼むよ」軽く承認してしまう。あればあったでどうとでも使うだろうと。 「ありがとうございます!」  ガードが緩い上客――カモだなとほくそ笑む。そんな応接室の扉がノックも無しに急に開いた。視線が集まると、そこには真っ赤なインナーを着て、肩に上着をかけた三十代らしき褐色の肌の女性が居た。 「あん? なんだお前らは……」視線がテーブルの上に行く「カスカベル八両、シグ二百、M16二百、それとエリコンの二十ミリも十基だ、幾らする」 「あ、はーい、少々お待ちを……えーと、このくらいですかね?」  女性が右手を横にやると、黒いスーツの男が懐から紙をを出す。それを受け取り何かを書き込むとちぎってテーブルへと放る。小切手。 「入れときな。ちょっと出てくる、二、三日中には戻る」  そう言い残してどこかへ消えて行ってしまった。 「すまんね、うちのが不躾で」 「あー、奥様でしたか。はははは」  笑い声は上げるが目が笑っていない。ワイルドすぎるだろうと島も小さく息を吐いた。 「あ、ところでこれは何処に納めたら?」 「さあ、それはあいつに聞いてくれ。多分ブラジルだと思うが」 「えーっ!」
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