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小学生の目
私の前を白衣を着た女の人たちが通る。
手にはキラキラ光る宝石が散りばめられたような鞄を持っている人、肩から真っ白な紐のついたショルダーバッグを下げている人など様々だが、なんだかお金持ちに見えた。
私は小学生の頃、風邪をひきやすく、しょっちゅう病院に行っていた。待合室で待っていた時、その前を夜勤明けの看護師が歩いていた時の光景だ。
看護師になると、あんな鞄を持てるようになるんだって小学生の時に思ったものだ。
病院は怖い所だったが、私の前を通る看護師は、誇らしげに歩いている。そんな姿を見るのが私の楽しみだった。だからって、わざと風邪をひいたわけじゃない。むしろ、また風邪ひいてしまったと心の中では仕事を休んで病院に付き添ってくれている母親に対して申し訳ない気持ちでいっぱいなわけで。
申し訳ない気持ちの逃げ道が看護師を見る事だったのかもしれない。
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