啓示その壱。

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啓示その壱。

『神様、お願いします。クリスマスまでに彼氏ができますように!』 『神様どうかSSR出してください!』 『いいご縁がありますように! いいご縁がありますように! いいご縁がありますように!』 「うるせえなぁ!」  俺は人間どもの願いごとが映し出された短冊を蹴散らして喚いた。 「どいつもこいつも! (オレ)が居ねぇ間に勝手なことばっかぬかしやがって!」  ふらっと出かけて帰ってきた昼過ぎ。俺の(やしろ)には三枚の短冊が待ち構えていた。触ったことで、氏子(うじこ)が参拝したときの映像が空中で再現される。 「彼氏が欲しい」のは……あぁ、通りすがりにたまにお参りしてく若い女だな。茶髪ボブの、たぶん大学生。そこそこ可愛いから、まぁ、自力でなんとかなんだろ。  次の短冊。SSR? って、なんだそりゃ。意味不明なやつは、そのままポイだ。  次のは、あぁこいつ、この辺り担当の巡査(おまわり)だな。ハッ、制服の中身は婚活一色か。ご縁! ご縁! ご縁! ってさ、何度も繰り返せば叶うわけじゃねぇから。却下。  つーか、どいつもこいつも、基本がなってねぇんだよ。  俺は肺いっぱいに晩秋の空気を吸い込んだ。 「よく覚えとけ! まず神社で祈るときはなぁ、てめえの住所と名前を名乗りやがれ! 言われねぇと(オレ)だって、お前がどこに住んでる誰かなんて分かんねんだよバカタレがぁ!!」
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