啓示その弐。

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「昨日お礼参りに来た一家ね、うちの町に引っ越したみたいよ」  木枯らしが狐舞喜の尻尾を揺らす。飛んできた枯葉がそこに一瞬引っかかって、そのまま風に流されていった。 「あぁ、じゃあ今度からそっちの氏子だな。たまーに見てやってくれ」 「うーん……そうだねぇ」  なんだろう、珍しく歯切れの悪い答えだ。  正直言って、俺の(なわばり)にいるより、狐舞喜の氏子になった方が人間は百倍安心だと思う。でも、狐舞喜の神社も参拝客の減少、つまり収入減に悩んでるらしい。神社の規模はうちと同じくらいだが、今の神主が作法とかに厳しいせいか、参拝客が年々減ってるんだそうだ。  狐舞喜の話を聞いてると、うちの神主みたいに適当でもいいのかなって気にはなる。もうちょい掃除はしてくれよって、思ってはいるけどさ。  人間だって、不真面目なくらいでいいんだよな……  カップ酒を半分残し、こたつで寝こける夢叶の父親。その頬には、涙の跡が残っていた。
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