啓示その参。

1/7

88人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

啓示その参。

 本気で願いを叶えたいんならなぁ、でかい神社に行け。これマジな話。  だいたい人間どもは、全国にいくつ神社があるか知ってんのか? 五万とある、どころじゃねぇ。八万だ。そのうち、何百万人も初詣客を集める大手はほんの一握り。そこの神は、(チケット)をたんまり持ってる。  そろそろ年末調整が始まるんだろうな。閑古鳥の鳴く師走の境内を眺めながら、俺はぼんやりそう考えた。  俺らのいう年末調整ってのは、短冊の話だ。大きな神社は、割り当てられた(チケット)を大抵一年で使いきれない。でも持ち越しはできねぇし、大量に余らすと再来年の配布を減らされる。だから毎年この時期になると、大盤振る舞いで溜まってた短冊を消化し始めるんだ。  今日はクリスマスイブ。今年もあと一週間だから、大手の神は大忙しだろう。でも、消化すべき余分な(チケット)なんかない俺は、馴染みの退屈をこねくり回して遊んでいた。  夢叶の家を訪ねたのは、ほんの気まぐれ。ケーキくらい食べさせてもらってんのかなって、すっかり暗くなった町をふらふら飛んでいった俺は、意外なところでガキを見つけた。  夢叶はフリースのパジャマ姿で、二階のベランダにしゃがんでいた。 「何、やってんだよ……? 」
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加