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啓示その参。
本気で願いを叶えたいんならなぁ、でかい神社に行け。これマジな話。
だいたい人間どもは、全国にいくつ神社があるか知ってんのか? 五万とある、どころじゃねぇ。八万だ。そのうち、何百万人も初詣客を集める大手はほんの一握り。そこの神は、札をたんまり持ってる。
そろそろ年末調整が始まるんだろうな。閑古鳥の鳴く師走の境内を眺めながら、俺はぼんやりそう考えた。
俺らのいう年末調整ってのは、短冊の話だ。大きな神社は、割り当てられた札を大抵一年で使いきれない。でも持ち越しはできねぇし、大量に余らすと再来年の配布を減らされる。だから毎年この時期になると、大盤振る舞いで溜まってた短冊を消化し始めるんだ。
今日はクリスマスイブ。今年もあと一週間だから、大手の神は大忙しだろう。でも、消化すべき余分な札なんかない俺は、馴染みの退屈をこねくり回して遊んでいた。
夢叶の家を訪ねたのは、ほんの気まぐれ。ケーキくらい食べさせてもらってんのかなって、すっかり暗くなった町をふらふら飛んでいった俺は、意外なところでガキを見つけた。
夢叶はフリースのパジャマ姿で、二階のベランダにしゃがんでいた。
「何、やってんだよ……? 」
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