俺のこと6

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俺のこと6

俺はあれから中途半端なことは辞めようと自分に誓った。 俺の中途半端は昔から。 感情でどうにかしたい時もあれば、急にどうでもよくなる時もある。 だから女の子となかなか長続きしたことがなかったりする。 そんな自分をわかっていたのなら、電話番号の交換や2人で会ったりすることを初めからしなければよかったのに。 俺の悪い感情があの時の衝動でさせたことだった。 サクラの後にまた会う約束をしたけれど、こないだのようなことになるのは2度は許されないし、もう会わない方が楽だと思うようになっていた。 それをきちんと伝えたところでまた桜ちゃんはきっと次会う日を聞いてくるだろうと考えるのがもうめんどくさくなった。 俺は断腸の思いで。。 何も言わずに離れることにした。 桜ちゃんからの着信を何度かスルーした。 連絡はこなくなった。 たまに何度か連続でかかってきていることがあったが、俺は患者対応で携帯に出れなかったし、時間が経っていたからもう折り返すような中途半端なことはしなかった。 ほんとに俺は最低だ。 そしてもう3ヶ月は連絡が途絶えていた。 救命センターでの研修はほぼ病院に寝泊まり。 病院近くに借りているマンションに帰れてもまた朝方にPHSで呼ばれ、病院と家とコンビニの往復の毎日。 自分の時間はほぼテレビを観ながら飯を食うだけ。 そんな生活にも慣れてきた。 今は自分だけの時間が尊いし、他を考えているキャパがない。 たまに看護師さん達との飲み会に参加すれば楽しさも得られたし、今はそれで充分満足していた。 あの時の俺はよくやっていたんだ。 夜中まで電話して、呼ばれるかもしれないのに会いにいったりしてたあの頃。 桜ちゃんは今どうしているかな。 ふと思い出すと俺だって少し心が痛むから。。 考えないようにする。 そうすると次第になんとも思わなくなっていたりする。 時は金なりという格言があるけれど、時は残酷なりだ。 いや、残酷なのは俺か。 ほんと最低。 もうすぐ8月。 そして9月からはまた大学に戻り、半年間の最後の研修が待っている。 俺が入局を希望している消化器外科の先生達と顔を合わす日々が始まるのか。。。 思うと憂鬱になってきたけれど、やっと初期研修医が終わる。 早く一人前の医者になって沢山の患者さんを救いたい! なーんて、まだまだそんな自信も力量も俺にはなく。。 目の前のことをただこなすだけ! 医者として! もうすぐ研修医も終わるんだ。。。 ベッドでマガジンを読みながら、そんなことを考えていると側に置いていた携帯が鳴った。 さっきまで病院で仕事をしていたのに急患で呼ばれるわけがない。 携帯を手に取ると桜木智花の表示が見えた。 3ヶ月ぶりの連絡だった。 俺は一瞬動揺したけれど、電話に出ない選択をする。 プルルルル プルルルル プルルルル 相変わらずしつこいなと俺は変わってない桜ちゃんに内心笑った。 着信が鳴り続けている。 携帯を睨みつけるように見ると桜木智花の表示がまた俺を動揺させた。 やっぱり。。 やっぱり。。。 「も!もしもしぃ!」 俺はやっぱり電話に出てしまった。
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